冬その八

嘗ての水田は、牛馬主体なので、少々の湿田でも、耕耘や代掻きが可能だったけれども、機械化された現在では、地下の硬盤がしっかりしていなければ、トラクタ等の大型機械が、自由自在に動き回ることが出来ない。其処で私は、五枚に分かれていた我家の水田を、一年間休耕して矩形型の一枚に集約した。処が色気を出したのが、躓きの始まり!水田の一部を埋め立て、宅地化して販売を試みたのである。早速幾人かの希望者が来られ、気に入られた。処がどっこい、市に農地転用申請を試みるも、許可が下りない。其処で同級の担当者に、それこそ日参したが、最後には「市には許可の権限なし=県の許可が必要」と、かわされ、埋め立て地は、哀れ成るかな「牛の採草地」に落ちぶれたのである。私は数々の失敗をしてきたが、人生最大の失敗は、この事である。