P&Pその二十

公と秘密とを、P&Pと題して書いたが、ピンと来なかった読者も多かろう。何故なればパブリックな事柄なれば、書き易いが、秘さねばならない事柄を、公にするのは、聊か差し障りがある。私が最も鮮明な記憶にあるのは、矢張り現役時代の想い出。中でも一級後輩のY君が、入社時の挨拶で「自分には許婚者が居るので、女性の皆さんは、絶対に私には近付かないで下さい」と述べた言葉である。私は文字通りビックリ仰天した。何故なら、パブリックな場で、プライベートな事柄を述べるのは、非常識としか言えないからである。それだけではない。その後輩が、後年三菱電機和歌山工場の、所長にまで登り積めたのには、二度びっくりした。何となれば、当時の情勢では、少しでも左翼思想の持主なれば、如何に優秀な社員であろうとも、幹部になれる可能性は、ゼロに等しかったからである。