夏その十

不在地主という言葉がある。要するに田畑や山林を所有しながら、都市部に住まう人々を指す。我家は幸いにもその状態は免れたが、屋敷は荒れ放題となった。何故なれば、就職先は殆どが都市部なので、老父母は、田舎に残るケースが殆どだからである。我家も、私が就職した後、永らく母が一人暮らしで、田舎の家を細々と守っていた。年に2~3度は帰省したが、一人っ子だったので、50代前半に早期退職して、実家に戻った。ラッキーだったのは、紆余曲折を経ながらも、熊本県に、再就職先を得たからである。