夏その九
夏になーれば思い出すのは、昭和の災害である。我家最大の災害は、見事な石庭が、ある夏の夜、轟音と共に、大崩壊を起こした。その土砂の量は、トラック数台分にも及んだ。今の時代なれば、ユンボ等の重機で土砂を撤去出来ようが、当時はそんなものは全く無く、長い間、其の侭にされていた。そして私が和歌山から石貫に戻った後、漸く復旧作業に取り掛かった。然しその復旧作業に、地主の叔父は無責任にも一度も立ち会わず、知人に任せ切りだった。私はそのM氏に境界を決めて貰い、多額の費用を投じて、今に至る、20mにも及ぶ、コンクリートブロックの石垣を、再構築した。