P&Pその四
然し父が綴った玉名民報の記事が、読者の評判に成るには、時間は掛らなかった。その第一は、フィクションではなく、実生活を巧みに取り入れた、内容だったからに違いない。中でも夫婦の機微や、子供の私も登場した、ドキュメンタリーとも言える内容だったので、忽ちに発行部数が増加して、玉名市を有名足らしめた功績は、決して小さくないと思う。然し乍ら、我が母の心境は、穏やかとはいえなかった。何故なれば、当時の家族は父母と私の3名。母は自分が題材にされるのは、とても嫌っていたので、私が頻繁に登場するストーリーになりがちだった。