梅雨その十一
現役時代、私の一年後輩にY君がいた。とても変わった男だった。何せ入社時の挨拶で「自分にはフィアンセが居るので、女性の皆さんは、決して自分に近付かないで下さい」と堂々と言い放ったのである。私は勿論として、多くの社員はビックリ仰天した。一般的な型通りの挨拶と、余りに懸け離れていたからである。そんな後輩が、数十年後にはトントン拍子に昇格して、何と副所長に大抜擢!他方私は、コンプレッサーの騒音クレームで、身も心も打ちひしがれ、退職届を出す顛末と、成り果てた。これこそ「負け組」と云うしかない。それでも隣室アパートに居られた、総務課の人の発案で、同社熊本工場に転任!命を救われた。これこそが「不幸中の幸い」と云うのだろう。