梅雨その十

こんな雨の日は、昭和31年に他界した父のことが、まざまざと蘇る。生粋の共産主義者で、幾度も官憲(特高)に引き回され、拘置所に連れて行かれ、コンクリートの上に正座させられ、その上から革靴で乗る、拷問を受けた。余りの痛さに気を失ったらしい。そんな父に官憲は、転向(共産主義思想を放棄する事)さえすれば、直ぐにでも釈放すると言ったが、父は生粋の共産主義者だったので、頑として拒否した。当時の私は小学4年の子供だったが、官憲に両腕を抱き抱えられ、よろよろと連れて行かれた様を、それこそ60年前の出来事なのに、丸で昨日に起きた事象の様に、鮮明に脳裏に蘇る。