トラクタその十

トラクタは現代の牛馬、それが盗まれたことがあった。田圃の多くは持ち主の家から遠隔地に在るので、毎日持ち帰らず、翌日に備えていたのである。処が或る日泥棒が勝手にエンジンを直結して、持ち去ったのである。処が最近は更なる上手が出現し、真昼間、勝手に他人の耕地に侵入し、コンバインで稲刈りして、其の侭機械と米を持ち去る、不届き者までが出現する時代となった。これこそ将にギャングと云うしかない。知人も同様の被害に遭ったので、私はどんなに手間が掛かろうとも、農業機械は必ず自宅まで持ち帰る。完