犬その六

テンは、シベリアンハスキー犬で、真っ白のふわふわとした長い毛に覆われた大型犬だった。従って暑さにはからっきし弱く、私が散歩に出かけると、真っ先に近くの川に行き、水に浸かり、その場を離れようとしない。そして渋々川から上がれば、体中を振るわせて、私にブルブルと水飛沫を振りかけた。一方体中に毛玉が出来て、見苦しいので、時々は嫌がるのも構わず、鋏で刈っていた。そしてこの犬も脱走壁があり、所謂「首輪抜け」が得意なので、県道に出て車に挽かれて死亡した。北国向きの犬だろうと思われる。