秋その十二

米作りは、春の苗代(所謂種蒔き)で始まり、秋の脱穀で終わる。その主人公は、何れも籾なのである。即ち米作りとは、籾を蒔き、籾を収穫する事だと云える。農業に関わらない都会の人は、恐らく米とは白米を連想するだろうが、それは既に(芽が出ない)死んだ米に過ぎないのであって、低温・乾燥貯蔵をせねば、コクゾウムシと云う小さな害虫が、米粒の中に穴を穿ち、侵入して食害されて終う。