体育その九

嘗て東京新宿に住んでいた、私の母方の従兄は、当時代議士だった小坂徳三郎氏と親交があった。私は東京出張の折には、幾度かお邪魔して、泊まらせて貰ったこともあった。何せこの家は大豪邸で、トイレが3ヶ所もあった。然し従兄は、若かりし頃に、誰かか投げた矢が目に刺さり、所謂「丹下左膳」となっていた。そんな成功者であっても、我が熊本の田舎も見たかったようで、何時かは大型リムジンを駆って、態々東京から熊本迄、ドライブして来たのだった。