発言その三

嘗ての我が上司は、今考えても、まともな人ではなかった。何故なれば、部下を鼓舞して働かせるのは良いとしても「何々を成し遂げたら参事にして遣る」と、空手形を乱発していたからだ。勿論彼氏の一存で、昇進出来るものでも無いこと位は、幾ら鈍い私でも分かっていた。私はそんな彼氏を恨んだ時期もあったが、或る時に、彼氏の奥方から「主人=上司」が、他界されたとの報を受け取った時、私は全てを忘れて、水に流した。