桜その三

石貫の繁根木川沿いの桜並木は、今ではちょっとした名所だが、以前はそうではなく、北石貫の御代田氏が、我家の田向かいの土手に、桜を植樹させてほしいと、来られたのが、その発端である。何故なら殆どの農家が、桜を植えれば日陰となり、米の収量が減ることを危惧していた。当時は敗戦の傷が癒えず、殺伐とした事件事故も多かったので、植樹を思い付かれたのであろう。私は即答で了解した。以降少しずつ桜の植樹が成され、今では川沿いの土手の大半が、桜並木に彩られる、一大プロムナードとなった。それにしても残念なのは「軽自動車以外は進入禁止」との看板が有るにも拘らず、この時期になると決まったように、大型ワゴン車が態々桜の枝をバリバリとへし折りつつ、強引に走行することである。そんな心ないドライバーの気が知れない!