鶏その二

勿論、当時は今の様に、配合飼料等と云う鶏専用の餌は一切なく、全てを自己調達せねばならなかった。従って、精米所等に行って、米糠と卵を交換して頂くとか、道端に生えているハコベやギシギシを摘んで来るとか、していた。但し毎日夕暮の頃、鶏小屋を開け放つ時が来る。すると全ての鶏が、我先に小屋から飛び立ち、周囲の草や昆虫等を、我先にと食べ漁るのであった。然し乍ら都合良いことに鶏は「鳥目」と言って、薄暗くなると、目が見えず行動出来なくなる。従って夕刻に放てば、一時間も待てば、自主的に、小屋の止まり木に舞い戻るのであった。