鶏その一

過去幾度か書いたと記憶しているが、鶏について更に述べてみたい。今何故養鶏かと問わるれば、畜産の中で最も容易であって、それなりの卵イコール収入を、得られるからである。私が物心付いた、昭和30年前後の頃、我家の裏には、ちゃんとトタン屋根付きの鶏小屋があった。当時の日本は敗戦後で非常に貧しく、特にタンパク質が乏しかったので、田舎では所謂「縁側養鶏」と称するものが、広く流布していた。これは自家の縁の下の一角を板や金網で囲い、其処に数羽の鶏を放して、食物残さや、畑に生えているハコベ等の雑草を与え、産卵箱を置いて卵を産ませ、弁当のおかず等に供するものだった。私は当時小学生で、鶏のエサ遣りをしていた記憶がある。