バイオマスその三

昨年の今頃の事だろう。京都から数名の業者が石貫に来て、竹を買いたいと申し入れた。私は勿怪の幸いだと喜び、その業者をH君と二人で、それこそ石貫中の山林に案内したのだった。然し、十か所近くに案内しても、中々お気に召さなかった。そして挙句の果て、馬場地区の東側斜面に生えている、細い真竹を一山ごっそり、買って行ったのである。私は少々頭に来た。幾ら職人であっても、顧客第一であろうとも、どんな竹をどの位、何の為に欲しいのかを、最初に言って呉れていたら、あんなに彼方此方にまでは、振り回されなかった筈である。以降その山の近くを散歩する度に、私には苦い想いが蘇る。