地勢その六

松浦先生は、流石に医者だけあって、俯瞰的鑑識眼の持ち主であった。或る日我家に往診に来られた時、こう仰ったとか!「臨家が空き家らしいけど、いっそ買ったら良かろうに」と。全く思いもよらぬ提案だったらしい。勿論当時の我家に買収する資金が有ったとは言い切れないが、それ以降、境界紛争やら色々とトラブルが発生したことを考えれば、松浦医師の先見性が、如何に素晴らしいものであったかが、今頃になって、改めて分かるのである。