収穫その二

稗は水田の中にも、畔にも生えるのだが、人間にとって都合良いことに、何故か稲よりも数センチほど高くなる。これこそが我等田主への、決定的なシグナルとなるのである。私は稲の中に分け入り、鋸ガマを使って、根元から稗を刈取り、種がビッシリ付いた稲穂ならぬ稗穂を、ハンマー投げの要領で、畔の外に向かって投げ捨てる。そのお陰で、我が田圃の周りの畔には、大量の稗が散らばっている。若し稗と稲との高さが同じだったら、稗取りは格段に困難だったろう。