山その十四

日本は平地が少なく、農業には不向きとの見方もある。それは土地を広く活用して、効率的に作業したいからである。そもそも農業の目的は何かと問えば、安全で美味しい農作物を得ることに他ならない。私はちょくちょく子や孫が住む大浜地区に行くが、その途中には豊かな農地が延々と広がっている。処がその大半が田植えをされておらず、休耕した農地が見渡す限り広がっている。何故かといえば、米が不味いからだ。その原因は水である。温くて富栄養化した水田は、米の収量は多くとも味は悪く、今やコメ余りの国内では、買い手がいない。従って休耕するか、大豆などの転作作物を植えるしかないからである。一方石貫や三ツ川は対照的で、収量は少ないけれど味が良い。だから態々遠くから来て、石貫でコメ作りをされるのだ。