トラクタその四

トラクタは、今や嘗ての牛馬に代わる農業機械となったが、詳しく述べれば、車と良く似ている。それは駆動方式である。殆どの車は後輪駆動だが、軽トラックの大半が4輪駆動なのは、道路以外の荒地も走行出来る設計となっているからだ。それはトラクタも同然である。大抵の水田は道路から急坂を上り下りせねばならず、二駆ではスリップして難しい。私が退職後、最初に買ったトラクタは二駆だった。それを使って片白の湿田に挑んだので、幾度も深みに嵌り、脱出に往生した。他のトラクタで、引き上げて貰ったこともあった。だから私は十年ほど前に、中古の4駆トラクタに買い替えたのである。続く