スコットランド

かなり前のことになるが、英国スコットランドの独立を問う住民投票で、独立反対派が過半数で否決され、キャメロン首相が勝利を宣言した。これを日本に当て嵌めれば、東北・北海道が独立宣言をしたようなもので、国柄の違いとはいえ、民主主義を確立した大英帝国の、政治に対する意識の高さを物語っている。それにしても、諸外国と日本の意識の相違を最も痛感するのは、見知らぬ人同士が気軽に声を掛け合う習慣である。日本で言えば「袖振り合うも多少の縁」とでも申そうか、歩行者同士が接触した場合とか、公共交通機関を利用する時でも、半ば無意識に「Excuse me」「Don't wwory」等という言葉が、気軽に交わされる。
尤も此処石貫のような田舎でも、住民の殆どが知り合いの為か、道ですれ違う時に、簡単な挨拶とか季節の言葉を掛け合うことは、半ば無意識に行われている。処が日本でも都会に行けば、とても同じ国とは思えない程に意識が異なる。それは公共交通機関を利用する場合等に特に顕著である。満員電車に乗り合せ、互いの身体がぴったりと密着した状態で、長時間立った侭の場合でも、一言の言葉も交わさず、ひたすら“無言の行”を耐え忍ばねばならず、田舎者の私にとっては“耐え難い苦痛”であった。然しそんな過酷な状況下でも、僅かばかりの空間を確保して、文庫本を一心に読み耽っている人を見ると、驚異の念すら覚えたものだった。
私は退職後、地元の人々から十数枚の水田を借地して、米作り及び畑作をしているが、今以て無農薬・無肥料栽培は“マイノリティ”に過ぎず、宛ら“ケミカル農法の大海に点在する小島の如し”である。それにしても、今年の夏は殆ど晴天の日がなく、稀に見る冷夏多雨の年であった。こんな年は米のみならず、殆どの野菜果物が悪影響を受ける。私の畑には多品種の野菜を植えているが、例年と比べて、くっきりとした変化が現れた。 一強多弱とでも申そうか!作柄が良かったのは、水分を好むナスのみ!他の夏野菜は軒並み不作で、例年は厭になるほど沢山成る、かぼちゃやキュウリ、ゴーヤですらも、僅か数個しか収穫出来なかった。
そんな今年は、米もどうやら不作となりそうだ。というのも、稲が日照不足で軟弱に育った為に、突風で薙ぎ倒されたり、彼方此方がウンカに食害されて茶色に変色している。私の田圃は、道路と川に囲まれた場所で、昨年までは猪の侵入はなかったのに、今年は何と高さ2mもある、垂直に近い川岸の崖をよじ登り、丸でオゾンホールの如く稲を薙ぎ倒し、籾を扱いて食べた形跡がある。そして畦には無数の猪の足跡が!私は慌てて電気柵を張り巡らしたが、今年の猪は感電にも怯まず侵入している。其処で私は最後の手段として、田圃周囲の畦に、ナイロンネットを張り巡らせた。猪は夜行性で、嗅覚は研ぎ澄まされているが、視覚は差ほどでなく、歩行中に足に何かが絡まると、恐怖心を覚える性質を持つからである。
そんな今秋、殆どの農家が大型コンバインであっと言う間に収穫するが、Oさん・Yさん・Tさん、Kさん、そして私の5人は、今年も相変わらず架け干しに拘った。処がよりにもよって、最も来て欲しくない時期の台風襲来である。こんな場合は“咄嗟の判断”が、その後の運命を大きく分ける。その対策とは
Oさんは、脱穀・即日収穫完了
Yさんは、稲刈り即日架け干し
Tさんは、架け干し稲の半分を撤収
Kさんは、稲刈り即日架け干し
小生は、転倒防止の架け干し竹増強及び、稲落下防止のロープ掛けと、五者五様の対策をした。
そして台風通過後の結果は、Yさんの架け干しは尻餅、Tさんの残り半分は無事、Kさんの稲はもんどりうって転倒、私の稲は吹き返しで将棋倒しと明暗を分けた。そんな咋日、久方振りに片白へ!皆さんの判断で、一週間稲刈りを遅らせたのは正解だった。然し片白にも、恐れていた猪の侵入足跡が!そんな今年、5式もある電気柵発信機が何れも不調!皆さん近日中に何としても稲刈を済ませましょう。終わり