TO DO LIST

私が愛読しているメルマガの一つ、杉山武子さんの「僕らはみんな生きている」にハーフの歌手アンジェラ・アキさんの成功物語TO DO LISTのことが書かれていた。アキさんは日本武道館でのライブを目指してひたむきに努力し、3年後に見事にそれを実現したとか。
TO DO LISTとは、三角形の中に長期・中期・短期の目標を書き、毎日見る壁や机の上に貼って、その達成を目指す目標管理手法である。人類は古来、目標を持つことで大脳が発達し、万物の長となった。
熊本に転勤した40歳の頃、私は上司からこのTO DO LISTの作成を命じられた。入社以来20年近く設計一筋だった私は、この管理手法に戸惑った。設計部門は日常的に顧客と接するので、TO DO LISTなどは殆ど念頭にはなく、営業部門を通じて次々に押し寄せる顧客要求に応えることが全てだったからだ。然し上長命令となれば仕方がない。私は、どうせやるのなら自分の部下だけでなく、家族に対してもやらせようと、正月になると家内と3人の子供達にもTO DO LISTを書かせた。そしてそれを毎日眺める台所の壁に貼り、年末に各人が目標達成度を自己評価するのである。自己評価だから、自分に甘くなるのは致し方ないとしても、余りに達成度が悪ければ、目標を掲げた自分が恥ずかしく、自らの努力不足や意思の弱さを自覚することになる。3人の子供達は各人それなりの目標(例えば長女は海外旅行だとか)を掲げていたように思う。
今やTO DO LISTの作成など、遠い昔の出来事になったが、人間には“習い性”という特質がある。毎年TO DO LISTを書いていたら、それが私の習慣となった。然し今の私のやり方は、書斎や食卓の脇にメモ紙やポストイットシートを置き、気付いた時にメモをして、目に付く所に貼っておく方法である。そして完了したらそのメモ紙を捨てる。外出時にも、やるべき事をメモしてポケットに入れておく。丁度“買物メモ”みたいなものだ。こんな一日一日の小さな努力の積み重ねでも、長年継続すれば物事を成し遂げる大きな力となる。そんな雨の一日“沈思黙考”していたら、私の喫緊の課題は“動物対策”だと悟った。
その一:水稲の猪対策
一昨年は、情報もなく全く無防備だったので、稲刈り直前に田圃を猪に踏み荒らされ、泥だらけの米を収穫した(食用にはならない)。この苦い経験を踏まえて、昨年は猪対策として田圃の周囲に電気柵を張り巡らしたので、無事お米を収穫出来た。今年も7月初頭の雨の一日、耕作者の皆さん数名と畦や土手の草を刈り、電気柵を張り巡らした。それにしても近年、猪の被害が甚だしい。特に冬季は山中に餌が乏しくなるので、猪が田圃まで出て来て、畝という畝を掘り返してミミズを漁る。その対策としては、田圃の周囲をトタン板や竹、ネットや電気柵で囲って侵入を防ぐのが一般的だ。
その二:鶏の野獣・烏対策
私が鶏を飼い始めて10年近くになるが、近年動物による被害が激増している。2年前に飼った20羽の鶏は、(地下トンネルから)イタチかキツネと(上空から)カラスにやられて半分に減った。生き残ったのは、夜間樹上で寝られる鶏だけで、地上近くで寝る鶏は全滅した。今年買った雛の8割は、飼って3日目に地下トンネル経由ごっそり持ち去られた。
私は思う。その昔、人類は鳥や猪やイタチなどを捕らえて蛋白源とした。それが今や鶏ばかりか、豚や牛を大量に飼育して蛋白源を賄う時代となった。その成れの果てが、宮崎県を震撼させた口蹄疫騒動である。これは見方を変えれば、人類に対する自然界からの“しっぺ返し”かも知れない。終わり